何度もチャレンジするしかなかったですね
――最初に苦労したことを教えてください。
入社後は、お客さまと一緒に指輪を作る前に、ひとりでキレイな指輪を作れるようになるための修行のようなものから始まりました。未経験なので、作り方は懇切丁寧に教えてもらうんですけど、できた指輪がお客様に出せるものか、そうでないものか、その違い自体がわからなかったです。
試作したものをチェックしてもらうんですが、合格のものと不合格のものの違いすら見分けられないんですよね。例えば作った指輪を見せて「真円じゃないね」と言われても「いやいや、丸じゃない?」と思うんです。でも、サイズ棒で合わせてみるとやっぱり真円になっていなくて。
「これでいいのかな?」「これで合ってますか?」ってチェックしてもらって「やっぱり違いますか……」って。上手くできない自分にイライラすることもありました。そんなことの繰り返しで、もう何度もチャレンジするしかなかったですね。
仕上がりに関して迷うことは未だにありますけど、真円、歪み、キズなんかは感覚で分かるようになりました。ここは自信が持てるとか、これ以上削ったらダメだとか、これなら次の工程で綺麗にできるとか、分かるポイントが少しずつ蓄積されていっている感じです。1つとして同じ指輪はないですから、その迷いはやっぱりいつまでもあるんだと思いますけどね。