鎌倉彫金工房のクラフトマンシップ vol.5 職人の育て方
2021.10.11
自身が持っている知識や経験、技術を新人スタッフへ惜しむことなく伝えるのも、鎌倉彫金工房を支えるクラフトマンシップのひとつといえます。
今日は工房の人材育成のお話。一生に一度の宝物をお作りいただくためには、それをサポートする職人の育成が不可欠です。
目指すべき職人像
私たち職人には、業務を遂行するうえで、彫金技術の向上はもちろん、お客様をおもてなしする者としての資質も求められます。
私たちが目指すべき職人像は大きく3つ。
- 自ら考え続け試行錯誤する職人
- サポート役に徹する職人
- 高い技術を修得し豊富な経験を積んだ職人
です。
自ら考え続け試行錯誤する職人
お客様にとっての気持ち良い空間とは何か。私たちは常にこの正解を考え続け、日々試行錯誤しています。そのために、前例にとらわれない柔軟性、プライドを持って自ら考える自律心、他のスタッフを尊重することも求められるかもしれません。
サポート役に徹する職人
私たちの仕事は、お客様の結婚指輪・婚約指輪の手作りをお手伝いすること。時にフォローし、時に見守ることです。サポート役でいることこそが私たちの仕事の極みであると自覚し、そのことに大きな喜びと誇りを持っています。
高い技術を修得し豊富な経験を積んだ職人
健やかなる時も病める時も、身につけていることが多い結婚指輪を作るためには、職人の高い技術と豊富な経験が欠かせません。お客様を担当する前のOff-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練)や、自己啓発としての定期的な技術テストなど、専門性を高めるスキル教育も行っています。
職人育成の取り組み
こうした鎌倉彫金工房の職人を育てるために行っていること――新たに仲間入りした職人候補が入社して、お客様を担当する前、最初に課されるのが「指輪をひとりで作れるようになること」です。
言うは易く行うは難し!
円にできたとしてもどこかが歪んでいたり、歪んでいると先輩に指摘されてもどこが歪んでいるかがそもそも見つけられなかったり……。円になったら今度は傷ひとつ無いように“やすり”がけ。“やすり”がけができたら今度は時間……(最初の試験にはシルバーの指輪を30分以内という制限時間がついています)。
「練習してるだけなのにお給料がもらえる!」と驚く新入りスタッフもいますが、技術の向上には、ただひたすら、しこたま、練習するしか道はありません。
そのほか技術テスト(挙手制)や、定期的に行われる個人面談など、結婚指輪や彫金に関するプロとしてのプライドを持ち、自信を持ってお客様にサービスをご提供できる人材の教育体制も整えています。
「人」が生み出す付加価値を信じて、私たち鎌倉彫金工房の職人は、日々成長を続けます。