彫金の基本道具とその使い方|手作り指輪の世界へようこそ
2025.06.30
「自分たちの手で、世界に一つの指輪を作ってみたい」
そう思って鎌倉彫金工房に興味を持ってくださったお二人へ。工房では、金槌(かなづち)やヤスリなど、様々な専門道具を使って指輪を制作していきます。
「専門の道具って、なんだか難しそう……」
「手先が不器用だから、使いこなせるか心配」
ご安心ください。指輪作りは、初めての方でも楽しめるように、シンプルな工程と、職人の丁寧なサポート体制を整えています。
この記事では、実際に指輪作りで使う基本的な道具の種類とその役割を、初心者の方にも分かりやすくご紹介。道具のことを少し知るだけで、指輪作りへの期待感がもっと膨らむはずです!
槌(つち)- 指輪の形を作る一打
指輪作りと聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのが、この槌ではないでしょうか。鎌倉彫金工房では、主に形の違う3種類の槌を使います。
- プラスチックハンマー: まず、大雑把に丸めた金属の棒のつなぎ目を溶接した後、いびつな円を綺麗な真円に整えるために使うのがプラスチックハンマーです。
- 木槌(きづち): リングのサイズを大きくする際に使います。「カン、カン……」とリズミカルに響く音は、まさに指輪作りの醍醐味です。
- 金槌(かなづち): 主に、「鏨(たがね)」や「刻印」といった道具を叩くために使用します。この金槌で鏨を叩くことによって、指輪の表面に「鎚目(つちめ)」という美しい模様が生まれます。
鏨(たがね)- 鎚目模様に表情を与える
指輪の表面に独特の温かい表情を生み出す「鎚目(つちめ)」は、この「鏨(たがね)」を使って作られます。
鏨は、先端が様々な形に加工された鋼の棒です。これを指輪に当て、上から金槌でリズミカルに叩くことで、金属の表面に凹凸の模様を刻んでいきます。先端の形によって、きらきらとした細かい模様から、岩肌のようなゴツゴツとした模様まで、様々なテクスチャを生み出すことができます。どの鏨を使い、どんな力加減で叩くかによって、お二人だけのオリジナルな模様が完成します。
バーナー- 金属を操る彫金の象徴
硬い金属の棒を熱して柔らかくする「焼きなまし」や、リングのつなぎ目を溶接する際に使われるのがバーナーです。「ゴォーッ」という力強い音と共に、青い炎が金属を真っ赤に染め上げる様子は、まさに職人の工房ならではの光景。
この工程は、危険が伴うため、熟練の職人とともに安全に作業を行います。本格的な彫金の世界を間近に感じられる、迫力満点の瞬間をぜひご覧ください。
やすり- 表面を滑らかに、美しく整える
溶接したつなぎ目を滑らかにしたり、指輪の側面や表面の形を整えたりと、美しい指輪を完成させるためには欠かせないのがヤスリです。工房では、素材や目の粗さが違う数種類のヤスリを使い分け、段階的に磨き上げていきます。
「シュッ、シュッ……」というヤスリの音は、派手さはありませんが、集中力が高まる心地よい音。最初はザラザラしていた金属の表面が、自分の手で少しずつ滑らかに、そして輝きを増していく過程は、大きな達成感を感じられる瞬間です。
刻印(こくいん)- 想いを込める、手作業の証
指輪の内側にお二人の記念日やイニシャルを刻む「刻印」。鎌倉彫金工房では、レーザー彫刻ではなく、一文字ずつ手作業で打ち込む、昔ながらの方法にこだわっています。
アルファベットや数字が彫られた金属の棒を指輪に当て、文字を刻んでいきます。「トク、トク……」という小さな音と共に、お二人の想いが指輪に宿っていく特別な工程。手作業ならではの温かみのある文字は、指輪への愛着をより一層深めてくれます。
鎌倉彫金工房では、専門の職人がマンツーマンに近い形でお一人ひとりに寄り添い、道具の正しい持ち方から力の入れ方まで、一つひとつ丁寧にお手伝いいたします。難しい工程や、力のいる作業は職人がサポートしますので、どなたでも、必ず美しい指輪を完成させることができます。
大切なのは「作ってみたい」というお気持ちだけです。
ぜひ一度、工房に足を運んでいただき、本物の道具に触れて、手作りの温かさを実感しにいらしてくださいね。