元々、金属という素材に興味がありました
Craftman interview 21
S.MOGAMI
学生時代から金工の技術を磨いてきたという最上。そんな彼女が金属好きとしての情熱を持ちながらどのようにして鎌倉彫金工房の一員となり、お客様や指輪とどのように向き合っているのか話を聞きました。
元々、金属という素材に興味がありました
元々、金属という素材に興味がありました。
見るのも作るのも好きで、美術工芸の学校に通っていた頃から作っていました。陶芸や染色よりも、金工が一番肌に合った感じでしたね。
仕事としてものづくりに携わりたいと思っていたときに、発見したのが鎌倉彫金工房でした。接客も、自分の手を動かすこともどっちもできるところが、理想的でしたね。
あとは、この工房が鍛造(編集注:溶けた金属を型に流し込むのではなく、実際に金属を叩くことで成形する製法)を採用しているのっていうところも決め手でした。
硬いけど温めると柔らかく、冷めたらまた硬くなるとか、段階を踏んで磨けば光るとか。そういった金属の性質が好きだったので、それを目の前でお客様にも感じていただけるのは、この工房の大きな魅力だと感じました。そんな理由で鎌倉彫金工房の門を叩き、6年ほど経ちましたかね。
お二人の雰囲気を壊さないように
仕事をする上で大切にしていることは、お客様との距離感です。お二人の雰囲気を壊さないように、程よい距離感で、いい時間を過ごしていただけたらなと思っています。
最初に、デザインをお選びになっている時のお二人の様子をよく拝見するようにしています。盛り上がってお話されている方もいらっしゃれば、静かにパートナーの方のお好みをうかがっている方もいらっしゃったり…。雰囲気を見て、無理やり入らずお任せするようにしています。
仕事で大切にしていることと言えば、スタッフに対しても同じかもしれないですね。工房のスタッフは皆とても素敵なので、それぞれの“いい感じ”が出せるといいなと考えています。
「ね、曲がるでしょ」「意外と削れるでしょ」
喜びを感じる瞬間は、やっぱりお客様の反応ですね。出来上がっていく工程を面白いと感じてくださってる様子があると嬉しいです。お見送りの後に、お二人で空に手をかざして指輪をご覧になっている後ろ姿、あれもとっても好きですね。「良かったなぁ」って思います(笑)
金属に触れられる喜びですか? どうなんですかね。それはちょっと違っていて、ご制作いただく中では、自分が素材に触ることはなるべく少ない方がいいと思っています。
お客様に素材に触れていただく中で「ね、曲がるでしょ」「意外と削れるでしょ」とか、「案外作れちゃいますよね!」って感じていただきたい気持ちのほうが大きいかもしれません。
工程もシンプルですし、達成感が分かりやすくあるんじゃないかと思っています。そこまで難しいことはしていなくても、きれいな指輪ができるということを体験していただきたい。それを面白いと感じていただければ、金属好きとして嬉しいですね。“しめしめ”と(笑)
体験する時間を楽しめる、思い出を大切にされている方であれば…
お客様からのアンケートで「店舗のスタッフ皆さんいい方でした」という言葉をいただくことがあります。お客様に直接対面してるのは基本1人のスタッフのはずなのですが、お店全体を褒めていただいたように感じて、すごく嬉しいですね。
スタッフ一人ひとりの振る舞いで、お店としての“いい雰囲気”が作れているなら、とても素敵なこと。ただ立っているときでも気をつけようって、緊張感も感じますけどね。
体験する時間を楽しめる、思い出を大切にされている方であれば、手作り結婚指輪はきっと良い体験になると思います。硬い金属も、意外と曲がるし削れるし、意外と綺麗にできますから。
最上のおすすめリングは……
イエローゴールド、甲丸デザイン
すごく迷う…たくさんあるんです。最近は、イエローゴールドの甲丸デザインが好きですね。仕上げはマット。でもヘアラインもいいですよね。…お客様の作品を拝見すると、それもいいな、思ってしまいます(笑)