私の方が楽しい時間をいただいているくらいの気持ち
Craftman interview 18
Y.MARUYAMA
仕事を楽しむ秘訣を尋ねると、全く意識したことがないかも、と笑顔で答える丸山。日々の仕事を自然体で楽しむことができる彼女が、どのようにして鎌倉彫金工房の一員となり、お客様や指輪とどのように向き合っているのか話を聞きました。
彫金は全くの未経験。
ホテル、旅行専門の広告会社を経て、鎌倉彫金工房の職人に。新型コロナの影響でホテルや旅行業界が厳しくなり、もっと日常に近い仕事がしたいと思い始めた頃に偶然求人を見つけました。
もともとものづくりが好きで、趣味でアクセサリーや洋服を作ったりしていましたが、彫金は全くの未経験。「未経験でもできる」という募集を見て、こんな機会は今後ないかもってチャレンジしてみることにしたんです。
思えば、「お客様の特別な体験に携われる」職人の仕事って、ホテルや旅行にも通ずるものがありますよね。鎌倉彫金工房を選んだのには、無意識のうちに、そんなお客様の特別な体験に携わりたいという思いが強くあったからなのかもしれません。たまたま求人を見つけて応募したとはいえ、自分の好みにぴったりの職種だったと今になって思います。
私の方が楽しい時間をいただいているくらいの気持ち
大切にしていることは、きっと人生で1回しかない機会を、このお店を選んで来てくださっている、という意識です。私の仕事は毎日同じことが多いんですけれど、お客様にはその日、その瞬間しかない。それをいつも頭に置きながら働いてます。どうか、どうか、楽しい思い出を作って帰ってほしいという気持ちですね。
そのためには、まずは自分が楽しんでやることかなって思っています。自分の思っていることって、お客様にも伝わるなって感じるので。
楽しむ工夫ですか? そこは全く意識したことがありません。気づいたら、もう、楽しいから(笑)そういう意味では、毎日様々なお客様とお会いして、私の方が楽しい時間をいただいているくらいの気持ち。なので、この気持ちが伝わったらいいなっていう感じですかね。
「この人なら気兼ねなく喋っていいんだな」
お客様との距離感や会話は、お客様の雰囲気に合わせて変えています。お話を楽しみたい方もいれば、静かに作業したい方もいるので、なるべくお二人の雰囲気を尊重するようにしていますね。だから、アンケートなどで楽しかったと感じてくれているのが分かると、本当に嬉しいです。
ご来店してすぐは緊張しているお客様もいらっしゃるので、そういう方には私から積極的に話しかけてリラックスしてもらおうとしています。「この人なら気兼ねなく喋っていいんだな」っていうのを分かってもらえるように、まずは私が気兼ねなく喋るんです(笑)お客様が居心地良く、緊張や遠慮しない環境づくり、というのは常に心がけていることとしてあると思います。
特別な思い出が蘇る瞬間を、多くの方にご提供していきたい
指輪は元々好きでした。ピアスやネックレスと違って、アクセサリーの中でも目につきやすいですから、日々の生活でふと目に留まって眺めてしまう時間があったりして。
私自身、旅行先で見つけた指輪とか、母から譲り受けた指輪とか、仕事を頑張ったときにご褒美で買った指輪とか、いろんな思い出とともに指輪を身につけていますが、ただ単に可愛いとかおしゃれという理由だけでなく、思い出を形として残すことができる。それが指輪の良いところだと思うんです。
それが手作りしたものになると、さらに感慨深いものになりますよね。これからも、お客様が指輪をふと眺めたとき、作ったときの特別な思い出が蘇る瞬間を、多くの方にご提供していきたいです。
丸山のおすすめリングは……
プラチナ×クリア仕上げ
王道のものが好きです。デザインは甲丸や平打ちといった装飾がないリングが、個人的にはいいですね。特にブライダルリングといえばプラチナが人気ですが、変わらないものの象徴みたいな、そういうストーリーがあるのも素敵だと思っています。