ずっと大切にしているのは、楽しみたいという思い
Craftman interview 04
M.NAKAHARA
ブライダル業界ひとすじに歩み続ける中原が鎌倉彫金工房の職人になって4年。いつでも朗らか、聞き上手で頼れる彼女が職人になったきっかけや、どのような想いでお客様と、指輪と向き合っているか話を聞きました。
人が喜ぶのが私の喜び
ブライダルの仕事が好きで、大学卒業後から福岡でウェディングドレスやタキシードのコーディネーター→ウエディングドレスに合わせたブーケを作る仕事→鎌倉に上京して結婚式場でウェディングプランナーと、業界を渡り歩いてきました。
人が喜ぶのを見るのが好きなんですよ。人が喜ぶのが私の喜びというか、人を喜ばせて感謝されることに、自らの喜びを感じることができます。特にウェディングは、一生に一度の大きな喜びの瞬間に関わることができるから好きなんです。その思いは今も変わらずありますね。
ものづくりも好きでした。絵を描いたり、ドレスのコーディネーターをしていたときは裁縫をしたりすることもありましたね。
あとは、職人って、なんとなく格好いいじゃないですか(笑)単純なんですがそんな理由で、4年前に鎌倉彫金工房の門を叩きました。今は接客と、指輪の加工を担当しています。
当時は“大町の主”でした(笑)
今まで関わったことのない種類の人がたくさんいるなというのは、入社して最初に感じたことです。個性派揃いでした。ただみなさん優しくって、楽しそうに仕事をしている。いい会社に入ったかもって、嬉しかったのを覚えています。
接客に入らせてもらえるようになったのは、ちょうど鎌倉彫金工房の2号店、大町がオープンしたタイミングでした。現在は御成町のスタッフと大町のスタッフが朝に集まっていますが、当時は直行直帰。誰に会うこともなかったので、ほかのスタッフと仲良くなるのに時間がかかったんですよね。当時は完全に“大町の主”になっていました(笑)
指輪の加工については、最初は良し悪しがまったく分からなかった。致命的なキズすら見つけることができませんでした。分かるようになってきたのは、入社して2年経ったころ。今思えば1年間は手探りで、何が正解かさえ分からないままひたすら指輪を作っていたような気がします。
「楽しいことが一番だと思います」
仕事をする上でずっと大切にしているのは、楽しみたいという思い。入社前の面接で「仕事をする上で大切なことは何ですか」という質問に、私は「楽しいことが一番だと思います」って答えたのをよく覚えているんです。
楽しいだけじゃダメだぞって思われてしまったかなと不安に思っていたのですが、入社してから「楽しめばよし、伝われば幸」というスローガンが工房にあることを知って驚きました。同じことを考えていたんだって。
私たちが楽しんでいるとそれは接客にも出ますよね。つまらないと思っていれば上手におもてなしできないですし。楽しむことを突き詰めた結果、お客さまが喜んでくれる。そして、それを見て私ももっと嬉しくなる。お帰りになる際に楽しかったですとおっしゃっていただけるのが好きですね、「よっしゃー」って思います(笑)
人生において大切な一瞬に携われる
お客さまが一生身につける指輪を作る、その大切な一瞬に携われる、というところにもこの仕事の醍醐味を感じています。ブライダルリングだけでなく、付き合って1周年のペアリング、結婚10年目のアニバーサリーリング、赤ちゃんへのベビーリングも。あの人と一緒に作って楽しい時間だったなと思ってもらえるのって、素晴らしいことですよね。
先日ペアリングを作りに来てくださったお客様がいらっしゃったんですが、実は初対面ではなくて、以前に結婚指輪をお作りいただいたことがあったんです。その方が私を指名してくださって。指輪を作りながらお話ししていると、流産でお別れしてしまった赤ちゃんとの思い出のために、指輪を作りに来たことを教えてくださいました。
そういった人生において大切な一瞬に携われることに、その時改めて、大きな喜びと責任を感じました。人生の節目に関われるって、滅多にできることではありません。
この仕事って、本当にいい仕事なんです。
中原のおすすめリングは……
甲丸つちめ
私といえば甲丸つちめと言われるほど(笑)つちめって手作り感があるのですごく人気なんですけど、でもやっぱりシンプルな甲丸も、と迷われる方におすすめしています。ご自身で打つつちめと違い職人が入れるので凸凹の感じをお好みにすることも可能。自分で凸凹をつけるのは自信がないという方にもぴったりです。お預かりをしないといけないデザインなんですけど、こちらでかわいくしてお届けしますのでご安心を。ちなみに私も結婚指輪には甲丸つちめを選びました!