根本的な喜びっていうのは多分同じ
Craftman interview 27
M.SUGIHARA
声のトーンや言葉選びに、丁寧さとあたたかさがにじむ杉原。鎌倉彫金工房との出会いに「運命を感じた」と語る彼女に、職人として歩み始めたきっかけや、“自分も楽しむ”ことを大切にする接客について、ゆっくりと話を聞きました。
漫画が描きたくてその大学に入ったんです
美術系の短大に通っていたんですが、実は入学時は漫画のコースがメインで。漫画が書きたくてその大学に入ったんです。でも途中で紆余曲折ありまして。ものづくりのコースに途中で移動しました。 元々ハンドメイドとか物を作ったりするのは好きだったんです。趣味でつまみ細工をしたりとか、たまにアクセサリーも作ったりしていました。高校生の時には手作り指輪の工房でシルバーリングを手作りした経験もあって、それが思い出に残っていたんです。
「やりたいとこどりじゃん!」って
卒業間際は、エンタメ業界に入りたいなって思って就活しました。ゲーム会社とか、アニメグッズを作っている会社とか、いろいろ探してたんですけど、なかなかうまくいかなくて……。将来どんな仕事に就くかとかはそんなに決まってなくて、もう何しようかなってずっと思ってたんですよね。 そんなときに、今までやってきたアルバイトのことを思い出したんです。コンビニから始まって、スーパーのレジとか、あとは飲食店のホールとか、接客のバイトをしてきたんですけど、お客様と話すのが楽しかったし、お会計が済んで「美味しかったです」って言ってもらえるのがすごく嬉しかったので、「接客って楽しいな、好きだな」って思っていたんですよね。 それで、ちょっと接客業も視野に入れて探し始めたときに鎌倉彫金工房の求人を見つけて。工房の採用資料に、嶋﨑さんと仲田さんの対談が載っていて、そこに「この仕事ってエンタメだよね」みたいな文章があったんですよ。それを見て「自分がやりたかったエンタメに携わる仕事で、しかも接客で。もう、やりたいとこどりじゃん!」って。それがきっかけで「ここしかないな」って思いました。
大切にしているのは、自分も楽しむこと
仕事をする上で大切にしているのは、自分も楽しむこと。接客中って、あまりそうは見えないかもしれないんですけど、実はかなりいろいろ考えながらやっていて。「先の工程はこれだから」とか「今何時だから」とか、意外と頭を使っているんです。 でもそうしているうちに、自分のことでいっぱいいっぱいになって、「大変だな」って気持ちが強くなってくると、それが表に出ちゃうんじゃないかなって思っていて。そうなると、お客様にも心から楽しんでもらえないかもしれないなって思うんです。 だから最近は「自分がもうお客様と一緒に楽しむ」っていうことを、特に意識してやっていますね。楽しめたなって実感があるときほど、お客様にもちゃんと伝わっている感じがします。 楽しむために意識しているのは、ちょっと地味なことかもしれないんですけど、声のトーンを上げるとか、笑顔でいるとか。あとは、お客様から指輪をお預かりして少し待っていただく時間があるときに、雑談を挟んだり、ちょっとお話したりするようにしています。
根本的な喜びっていうのは多分同じ
やっぱり一番喜びを感じるのは、お客様が「楽しかったです」って言ってくださる瞬間です。もちろんそれだけでもすごく嬉しいんですけど、アンケートとかで「杉原さんに担当してもらえてよかったです」って名前を挙げてくださると、本当に嬉しいですね。 接客のアルバイトをしていた頃と根本的な喜びっていうのは多分同じです。コンビニや飲食店での接客も楽しかったんですけど、鎌倉彫金工房の指輪づくりって、一人一人のお客様と関わる時間がすごく長くて。やっぱりその分、お客様との思い出が濃く残るというか、喜んでもらえたときの気持ちも、すごく大きいような気がしています。
杉原のおすすめリングは……
槌目デザイン✕ヘアライン仕上げ
槌目って同じ模様は二度とできないので、オリジナル感があるのが好きなところです。個人的に好きなのは、ゴツゴツしているより、少しカクカクっとしてるような、落ち着いた感じの槌目。槌目ってご自身の好きな模様にできるので、「自分らしさ」を出したい方にはぴったりだと思います。仕上げは、ヘアラインが好き。落ち着いた雰囲気になるので、槌目との相性もいいと思います。